::: 春雨の後 :::
ようやく晴れて青空が広がり、おだやかな陽光の中、鮮やかな新緑
に染まる木々たちの、風にそよそよと揺れる枝葉を見上げながら、
ほわ〜と何にも考えずに座っていると、時折ちゅっちゅっぴちゅ〜
などと聴こえてきて‥と思ったら、低空飛行で目の前をささーーっ
と横切っていったりして、ちょっとびっくり。
春になると、周りではごそごそ、ちょろちょろ、ひらひら、ぶんぶ
ん‥と、いきものたちの気配も断然多くなります。そして近頃よく
庭で見かける猫ちゃんたちのうちの一匹は、4本の手足の先だけが
靴下をはいたように白いので、こっそり「ショセット」と名付けて
います。フランス語で靴下っていう意味です。
今日もトコトコとうちの縁側へ現れたので、網戸越しに「ショセ!」
と小声で呼んでみると、「なあに?」とちょっと期待したような目
線でこちらを見上げました。でも「あ、呼んでみただけー」と心の
中で云うと、すぐに目をそらし、すたすた縁の下に隠れてしまいま
した。「用がないなら、呼ばないでね」と思ったかどうかは知りま
せんが、ま、お互いあっさりとした関係です。
普段からそんな環境にいるということもあり、ここでいきものを飼
ったことは今まで一度もないのですが、つい先日、しとしとと連日
よく降った雨上がりの深夜に、お風呂に浸かってぽけーとしていた
ら、ん‥? 浴槽のふちに、何かちいさな黒っぽいものが‥。
ごみ?と思いながら指先でつまみ上げてると、わぁ、それは小さな
ちいさな、かたつむりさんでした。大きさ、わずか4mmほど。目を
凝らすと、殻からミクロな体とおめめを伸ばしてきょろきょろして
います。
いったいどうしてここにいるの? 外から浴室に紛れ込んでしまっ
たか、ある時、服にくっついたまま連れてこられたか、もしかして、
ここで生まれた‥? といっても、そもそもこの大きさで赤ちゃん
なのか、実はもうすっかり大人なのかさえわかりませんが‥。
でも、腕にのっけて動くのを見ていると、何だか、うんしょ、うん
しょ‥とすごく一生懸命に動いているようで、おもしろい。さほど
機敏でもないし、行動範囲も広くなさそうだし、一週間ほど一緒に
過ごしてみることにしました。
手頃な器に、適当にみつくろった葉っぱとサンゴを置き、シュシュ
ッと霧吹きして、呼吸のためにたくさん穴をあけたラップをその上
にかぶせました。ふむ、葉の陰に隠れてたりして、なかなか快適な
ご様子。
そうして気が向いたら、何してるのかな〜と時々器をのぞいてはみ
るのですが、その度にどこに居るのかわからなくて探してしまうほ
ど小さな「ルゴ」(名前つけた)。でもひっそりながらも、いつの
間にやらあちこちけっこう移動しているみたいです。うーん‥。も
しかしたらやっぱりこんな器の中じゃ、かわいそうかなぁ‥。
‥ということで、今夜またお風呂で一緒に遊んだら、その後外に放
すことにしました。わずか3日だったけど、自然の中なら、もっと
たくさんのいろんなことに出会えるよ、ルゴ。まずは、満月の夜の
月明かりの世界かな‥?