ゆるむるぅむ *monde

 

+ Millénaire +

 
ああ、あれからもう20年もの月日が経ったとは、にわかに信じがたい。
時は、なんと儚く、淡いものだろうか‥。
 

ミレニアムを祝うために、シャンパンのボトルを抱えた友人たちと3人でモンマルトルの丘へと向かった。頂上付近の階段広場は人混みがすごく、さらにどの道からもはみ出るように辺り一面人だらけだった。そこからやや下がったところ、丘の中腹あたりの植込みのそばに、陣取れそうなスペースを見つけて、ようやく腰を落ち着けた。
 

遠くには夜霧でかすんではいるものの、シャンゼリゼ付近の煌々とした明かりと、そして小さくエッフェル塔も見える。周囲では0時になる前からすでに爆竹が鳴らされ、興奮した人々の談笑も混じるその熱気は、冬の冷ややかな空気さえも温めてしまうかのようだった。
 

そして、いよいよカウントダウンが始まり、3、2、1、ーーーー!! その瞬間は、人々が口々に叫び、祝い合って、ビズをしたり、抱き合ったり、さらに重なり合うように車のクラクション、セーヌ川からの船の汽笛が響き、丘の上や遠くのあちこちで花火が打ち上げられ、一帯が高揚感に包まれた。
 

眼下の小さなエッフェル塔はさまざまなライト、フラッシュ、花火の数々で眩く照らされたり、キラキラと輝き、特に目を奪われた。そこで実際に見ているのより少し遅れてくるような下界の音、フワァァーと固まりになって聞こえてくる歓声‥。夜の広大な暗がりの中にぼんやりと、人々が暮らしている渾然一体とした世界が浮かび上がったような、不思議な感じだった。
 

それから、「ああ、生きているなぁ、この丸い地球で‥」などと感慨深く思ったのもつかの間、そのうちシャンパンが効いてくると、真夜中で、旅疲れもあったのだろう、ひどい眠気を覚えて、「もう満足! あとはすぐにでも帰って眠りたーい!」と思ったのだが、友人たちは、「せっかくだからシャンゼリゼにも行ってみようよ‥」などと云い始め、両脇を抱えられて、変わらぬ喧騒と人混みの中、とりあえず丘を下りたものの、結局まったくたどり着けないまま、途中のカフェでダウン。
 

しばしの間をそのカフェで過ごして、だんだん空が白み始めたころ、友人たちと別れ、帰途へと着く。ゆっくりと歩きながら、新鮮な空気を大きく吸い込んで、あたりを見回してみる。
 
 

夜通し続いていたはずの祝祭も、朝の静けさと光の中に、そうっと溶けて消えていった。